地元で一番のワルが母校の校長先生になった話

学校

三つ子の魂百までというけど、私は決してそんなことはないと思う。大人になってから良くも悪くも大変身した人をたくさん見ているからだ。小さい頃はいじめられっ子の泣き虫で「メガネデブ」という不名誉なあだ名をつけられた子が、今では筋肉隆々の消防士さんになっていたり、かと思えば小さい頃から野球一筋で将来はプロ野球選手と期待されていた子が、ホステスに入れあげて借金にまみれた挙句、クスリ漬けになって捕まってしまったり。人ってどんな風に変わるかわからない。

先日母から電話がかかってきて、私の母校である小学校の校長先生に、私が小さい頃から地元で恐れられていた先輩が就任したというニュースを知らされた。その先輩は地元の不良グループの中でもリーダー的存在だった。家庭環境が複雑で家に自分の居場所がなく、友達の家を転々と移り住んでいたそうで、色々な悪い噂が私の耳にも届いていた。だけど中学校で出会った先生のお陰で改心し、教員免許まで取ったそうだ。

という話までは聞いていたけど、まさか校長先生にまでなっているとは誰も予想できなかっただろう。そういえば私が小学生で弟がまだ小さかった頃、道を歩いているとその先輩に遭遇したことを思い出した。少し緊張しながら通り過ぎようとすると、弟がその先輩の前をフラフラと歩いて道をふさいでしまったのだ。私は一瞬、弟が蹴飛ばされるんじゃないかと慌てて弟を引き戻そうとした。だけどそれより先に先輩の手が弟の頭の上に振りかぶった。「殴られる!」と思ったのも一瞬で、先輩は弟の頭をポンポンと優しくたたき、自ら道をどいたのだった。腰が抜けるほどホッとしたと同時に、「なんだ、優しい人なんだな」と思った記憶がある。あの人が校長先生で大丈夫なのかと心配する人もいるらしいけど、生徒たちの頭を優しくポンポンと叩く先輩の姿が想像できるから、きっといい校長先生になるんじゃないかな、と私は密かに思うのだった。